仕事サイボーグな私の恋愛事情~人生は物語のようには上手くいかない。それでも…また恋を始めても良いですか?
「笹原さん、荷物はどこに運び込むつもりですか?笹原さんのマンションはここから二時間以上離れていますよね?そこから会社に通うなんて私には無理ですよ」
「それなら大丈夫。俺のこっちのマンションに運ぶから」
こっちのマンションて?
ホストってそんなに稼げるの?確かに凄く稼ぎの良い人もいると聞くけど……。
全ての家具が運び出されるのを確認してから、また涼の車に促され車が走り出す。今度はどこに連れて行かれるのか?そう思っていると、すぐに車は停車した。車から降り、見上げた先にはビルのような大きなマンションが建っていた。そこは最近建設されたばかりの高級マンションだった。
このマンション一体いくらするの?
到底私には払えそうに無いんだけど。
そんなマンションの前に立ち、美月は青ざめながら涼の方を見た。
「あの……笹原さん、私にはこのマンション代が払えそうに無いのですが……」
「そんなのいらないよ。大丈夫だから行こう」
「全く大丈夫ではないんですけど!」
強い口調で発しているのに、涼はひるむ様子も無く美月の手を取り、楽しそうにマンションの中に入って行く。
何て強引な人なの。
気づけばマンションの最上階へとやって来ていた。