仕事サイボーグな私の恋愛事情~人生は物語のようには上手くいかない。それでも…また恋を始めても良いですか?
ドキドキといつもより早く動く心臓に、静まれと心の中で声を掛ける。
お願いだから静まれ、私の心臓ーー!
「美月もコーヒーで良い?」
「うっ、うん。カップはこれでいいの?」
「それで良いよ」
「涼、ミルクと砂糖は?」
「いらない。ブラックで」
涼が落としてくれたコーヒーをカップに注いでくれるのを待って、自分の物にだけ砂糖とミルクを入れる。
それをテーブルに置くと、朝食が完成した。
涼がそれを見て嬉しそうに瞳を輝かせた。
「いただきます!」
そう言って涼がホークを手に、サラダや目玉焼きを口に運んでいく。
「うっま!何これ、なんでこんなに旨いの?」
「大げさ、全部焼いただけだし、味付け塩こしょうだけだし」
「だって、本当に美味しいんだもん」
だもんって……。
かわいい。
美味しそうに食べる涼の姿に、思わず声を出して笑ってしまった。
するとそれを見た涼が、キョトンとした顔をした後、眩しいほどの笑顔をこちらに向けてきた。その笑顔に美月は赤面させられてしまうのだった。