仕事サイボーグな私の恋愛事情~人生は物語のようには上手くいかない。それでも…また恋を始めても良いですか?

 *

 美月はいつものように集中し、パソコンのキーボードを叩いていた。するとそこに湯原更咲が近づいてきた。

「岡本さん、今日一緒にご飯食べに行きませんか?」

「いえ、私は結構です」

「えー。たまには良いじゃないですか。先週もそう言って断りましたよね?明日は休みだし、行きましょうよ。ね!」

 そう言って、更咲が美月の腕を引いた。

 先週は社交辞令のような誘い方だったのに、今日はどうしたというのだろうか?

「ね。たまには私達に付き合って下さいよ」

 両手を合わせ、可愛らしく片目をつぶる更咲の姿に、妹の智咲の姿が重なる。

 この子……苦手だわ。

 はぁーっと、大きく溜め息を付きながら美月は口を開いた。

「私と一緒では皆さんが楽しめないと思いますよ」

 冷たく言い放つも、更咲は嬉しそうに笑った。

「そんな事無いですよ。だって……」

 ?

 だって……?

 何だろう?

 次に繋がる言葉が気になる。

 物凄く嫌な予感しかしない。

 それなのに更咲が強引に美月を立たせ、オフィスから連れ出した。

「さあ、行きましょう!」


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