仕事サイボーグな私の恋愛事情~人生は物語のようには上手くいかない。それでも…また恋を始めても良いですか?
口角を上げるだけの笑みでは無く、楽しそうに笑いながら更咲と同僚の三人に両手と背中を押され、奥へと進んでいく。ソファーに座らせられると、いつの間にかフルーツの盛り合わせがテーブルに置かれ、お酒が運ばれてくる。
何?
いつの間に頼んだの?
驚きながら周りを見渡すとボーイの充はいなくなっており、代わりに派手なスーツを着た男性達が集まってきた。
「あれー?更咲ちゃん。また来てくれたんだ。ありがとう」
「マナト!私の名前覚えてくれたんだ。うれしい」
「それはもちろん!こんなに可愛い子の顔忘れないよ」
マナトが更咲の頬を撫でながら、歯の浮くような言葉を囁く。それを聞いた更咲が頬を染めながら嬉しそうに笑う。
ここは女の子が輝く世界。
ああ嫌だ。
早く帰りたい。
なるべく自分の存在を隠すように、息を殺して小さくなる。
お願いだから私に気づかないで。
そっちは勝手に盛り上がってくれていて良いから。