仕事サイボーグな私の恋愛事情~人生は物語のようには上手くいかない。それでも…また恋を始めても良いですか?

 なんておこがましい。

 こんな感情……。

 自分の中に芽生えつつある感情に、美月は狼狽えた。

 嫉妬の先にあるのは……。

 私のような女がこんな感情を抱くなんて、涼も迷惑なはずだ。一緒に暮らしているのだって、涼の気まぐれなのだけら……。

 嫉妬心からなのか、自分の中にあるどす黒い感情が這い出してくる気がした。

 こんな自分は嫌だ。

 醜い感情に支配されたくない。

 何も考えず、仕事サイボーグでいる方がどんなに良いか。

 涼……あなたの顔が見ていられない。

 俯く美月の顎を涼がそっと、上げてきた。

「美月そうしたの?大丈夫?」

 涼が美月の顔を覗き込んできた。

 ああ……優しい顔。

 そんな顔を私に晒さないで、相手は女慣れをしているホスト様なのだ。

 絆|《ほだ》されてはいけない。

 心を奪われてはいけない。

 それでも……そう思っていても、この人に引かれてしまう。







< 66 / 117 >

この作品をシェア

pagetop