仕事サイボーグな私の恋愛事情~人生は物語のようには上手くいかない。それでも…また恋を始めても良いですか?
それに気づいた途端に恥ずかしくなってしまう。久しぶりの感情に心が追いつかない。あまりの恥ずかしさから現在抱きしめられたままの状態だったため、涼の胸に顔を埋める。しかしこの状況もなかなかに恥ずかしい。そう思い体を離そうと顔を上げると、涼の瞳とバチッと目が合った。それだけで、カッと体が熱くなる。
嫌だ……何これ、体が熱い。
涼の瞳に見つめられるだけで、ムズムズとした何かが心の奥からせり上がってくる。恥ずかしさから、目を逸らしてしまいたいのに目が離せない。優しく包み込んでくれるようなその瞳に見せられる。美月はジッと涼の瞳を見つめた。その瞳にはもう涙は溢れ出してはいなかったが、潤んだ瞳はゆらゆらと揺れているに違いない。熱く火照った体のせいで赤く熟れたリンゴのようにもなっていることだろう。そんな美月の姿を見た涼がくぐもった声を出しながら視線を逸らした。逸らされてしまった顔を確認出来ないが、耳が赤くなっている。
「耳が赤い……」
美月が思わずその耳に触れると、涼の体がピクリと跳ねた。
「かわいい」
赤くなった耳が可愛くて、美月がぷにぷにと涼の耳をつまむ。すると、涼から小さな声が聞こえてきた。
「可愛いのは美月だから。そういう可愛い事するの止めて」
涼の恥ずかしがる姿が可愛くて、思わず笑ってしまった。
すると涼が驚いたように固まり、ふわりと笑った。
優しい笑顔。
ああ……この人が好きだ。