仕事サイボーグな私の恋愛事情~人生は物語のようには上手くいかない。それでも…また恋を始めても良いですか?
「ちょっと!人の話を聞いてんの?!アパートに行ってみたらお姉ちゃんはもう住んでないって言うし、人に聞こうとしてけどお姉ちゃん友達いないし。何処に行っちゃったんだろうって、心配したんだからね」
ギャーギャーと騒ぐ智咲を見つめながら、また溜め息が漏れた。
「あっ!また、溜め息!それ止めてよね」
うるさい……誰のせいでため息が出ると思っているのかしら。
もう放って置いて欲しい。
私は静かに、穏やかに暮らしたいだけなんだ。
忘れた頃にやって来て、地獄にたたき落としてくる妹に、辟易しているというのに。それでもそれを口にはしない。なるべく刺激を与えないよう、言葉を選んで話しかける。それはさっさと智咲に帰ってもらいたいから。
「智咲お願いだから私に構わないで。何かあったらこちらから連絡するから……私の事は放って置いて」
「はあ?何言ってんの?こっちは心配して来てやってんのに」
「心配はいらない。大丈夫だから」
「お姉ちゃんってホント可愛げがないよね。そんなだから、みんなお姉ちゃんから離れて行くんだよ。分かる?」
分かってる……分かってるよ、そんなこと。
爪が手のひらに食い込むほど強く、美月は両手に力を込めた。
「智咲、私の安否確認は出来たでしょう。私はもう行くわね」
美月は智咲に背を向け、公園を後にした。