仕事サイボーグな私の恋愛事情~人生は物語のようには上手くいかない。それでも…また恋を始めても良いですか?

 次の休みの日、智咲は美月の住むマンションから死角になる場所で、美月を待った。ついでにあの素敵な人に会えたら良いのになーという打算もあった。

 あの人、本当に格好良かったな。

 マンションの入り口から、通りの向こう側に視線を向けると車に乗ったあの男性がやって来た。

 やったー!

 私ってついてるぅー。

 車を駐車場に停めた男性がこちらに向かって歩いてくる。

 どうしよう。

 今日会えると思ってなかったから、何て声を掛けたら良いか分からない。少し俯きながら智咲がモジモジとしていると、男性の顔がパッと華やいだ。

 やった!

 気づいてくれた。

 智咲は嬉しくて男性の方へと歩いて行くと、男性は智咲の横をスッと通り過ぎて行った。

 えっ……。

 智咲は驚きながら、通り過ぎて行った男性を目で追いかけると、そこには姉の手を取る男性の姿があった。 

 お姉ちゃんとあの人がどうして?

 驚愕する智咲の視線の先で、ニッコリと微笑んだ男性が、お姉ちゃんの持っていた食材の入ったエコバックを強引に奪い取りる。ここから見る限り、幸せそうなカップルにしか見えない二人。

 何で……どうして……。

 智咲はグッと唇を噛みしめた。

 それは唇から血が出そうになるほどに……強く……強く……。


 
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