仕事サイボーグな私の恋愛事情~人生は物語のようには上手くいかない。それでも…また恋を始めても良いですか?

 そんなキスがくすぐったくてクスクスと笑っていると、涼が大きく溜め息を付いた。

「はぁーー。美月……俺、限界」

「……限界?」

「もう無理!」

 えっ……無理って?

 涼からの拒絶にサッと顔を青ざめたが、涼から聞こえてきた言葉に安堵する。

「俺もめちゃくちゃ美月が好きだから。美月が可愛すぎて我慢できない」

「ふぇ……かわいい?」

 思わず変な声が出てしまった。

 今まで可愛いと言われるのは智咲の役目だったから……。

 あたふたする美月に涼が限界とばかりに唇を重ねる。

「……っん……あっ……」

 先ほどの重なられただけのキスとは違う、貪るようなキス。角度を何度も変え、上唇、下唇と甘噛みされ、美月からくぐもった声が漏れる。それに煽られるように涼のキスが激しくなっていく。激しくなるリップ音とキスに美月は呼吸するタイミングを失っていた。それでも何とか唇を開いて酸素を体に取り込もうとしたその時、涼が待っていましたとばかりに舌を口腔内に滑り込ませてきた。美月の腔内に侵入することに成功した涼は、ゆっくりと舌を使って美月の舌を絡め取る。先ほどのリップ音とは明らかに違うピチャピチャという水音が美月の鼓膜を支配する。余りにも卑猥な音に、美月の体が熱くなっていく。

 嫌だ……何これ……。

 キスって、こんなにも気持ちが良いものなの?

 絡み合う舌から、溶けていきそうなほどの甘味。



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