仕事サイボーグな私の恋愛事情~人生は物語のようには上手くいかない。それでも…また恋を始めても良いですか?

「涼が女性服をデザインしたいなんて言ったの初めてだから、何事かと思って来てみれば。へー。分かった気がするわ」

 この人が何を言っているのか今ひとつ分からないが、何か重要なことをこの人が言った気がした。

 ガチャッ。

 そこで突然玄関の扉が開き、茶髪の男性と私は扉の方へと視線を向けた。するとそこには驚いた顔をした涼が立っていた。

「お前何しに来た?って言うか美月の眼鏡と髪ゴム返せ」

 茶髪の男性から眼鏡と髪ゴムを奪い返した涼は、そのまま私を守る様に後ろに隠した。

「おーっ!こっわ!お前がそんなに感情を露わにする所なんて、初めて見たよ。よっぽどその子が大切なんだな。でも……そんな事を言って良いのかなぁー?これ……欲しかったんじゃ無いのかなぁー?」

 茶髪の男性が手にしていた茶封筒を手で持ちながら、涼の目の前でブラブラとさせた。

「……っつ。お前、それを早く言え!」

 茶髪の男性が手にしていた封筒を涼が取ろうとしたところで、男性が封筒をヒョイッと上に上げた。

「おっと、そうはいかないよん。これが欲しい?それなら……ほら、彼女に俺を紹介して」

 涼は茶髪の男性を睨みながら渋々といった様子で、男性を紹介し始めた。

「美月、こいつは腐れ縁の、西条章(さいじょうあきら)だ」

「美月ちゃんていうんだ俺は西条章。章って呼び捨てで良いから呼んでね。ちなみにブラックキスの店長で、涼の親友だよ」

 ブラックキス……それは私が初めて行ったホストクラブの名前。





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