仕事サイボーグな私の恋愛事情~人生は物語のようには上手くいかない。それでも…また恋を始めても良いですか?
「あの……ホストクラブの?」
「そうだよ。よろしくね」
章はウインクをしながら私の手を取ろうとしたところで、涼がその手をたたき落とした。
「美月に触るな」
「うっわー。ホントお前誰だよ。そんな独占欲見せるなんて……信じられない」
「うるさい。その封筒をこっちに渡して、さっさと帰れ」
「ヘイヘイ。分かったよ。ほらやるよ」
章は涼に封筒を手渡すと、美月に向かって投げキッスをしながら帰って行った。
凄い……嵐の様な人だった。
放心状態で、章の出て行った玄関の扉を眺めていると、涼から仕事があるから部屋にいると言われ、私は夕食の準備を始めることにした。
この時、章から涼に手渡された封筒について美月は仕事の資料かな?ぐらいにしか思っていなかったが、この封筒の中身が美月にとって、重要な資料であったことが後に分かる。