仕事サイボーグな私の恋愛事情~人生は物語のようには上手くいかない。それでも…また恋を始めても良いですか?
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格式の高そうなホテルの一室に通された美月は困惑していた。
「こちらで少々お待ち下さい」
ホテルのスタッフにそう言われ、連れてこられたこの部屋は、一体どういった部屋なのだろうか?
着替えなどをする部屋のように見えるこど……。
メイクも出来るように大きな鏡のついたドレッサーも用意してある。
それにしても涼は何処に行ったのかしら……。
あれこれと考えているうちに、ドアがノックされた。
「ど……どうぞ」
ビクビクしながらドアに向かって返事をすると涼が入って来た。
「美月お待たせ」
涼がニコニコとしながら、三人の女性を引き連れてやって来た。その三人のうちの一人が、腕まくりをしながら涼を見た。
「笹原様、早速始めます」
「ああ、頼むよ」
「お任せ下さい。腕が鳴るわ」
無理矢理にドレッサーの前に座らされた美月は、不安に思いながら涼を見た。すると涼が嬉しそうに微笑んで手を上げた。
大丈夫だと言うことなのだろう。
「美月様、私達の腕を信じて下さい。笹原様はロビーでコーヒーでも飲んでお持ち下さい。終わり次第お呼びしますので」
「ああ頼んだよ」