XYZ
「知りたい?どんなこと?」
『うーん、そうだなぁ、どんな子供だったの?』

「今と変わらないよ。ただ少し体が弱くて、いつも勉強とか絵を描いたり、歌を歌ったり、室内によくいたよ。」

『そっかぁ。ニカの歌聴いてみたいなぁ。』

「合唱コンクールがあれば聴けるよ、たぶん。ナナミは?」

『私は、』

ナナミの声が途切れた。


『今みたいな感じ!結構ヘラヘラしてて、笑いすぎて、うるさくてお母さんに怒られてたよ』

「ふふっ、ナナミっぽいかも」

『それどういう意味!?』

「ナナミは、昔のナナミのままで良かったなぁって」

『うるさいって事ね』

「違うよ!!」


もっともっもナナミを知りたい。

何気ないことを話していたら、外は明るくなっていた。


私はあの夢のことをすっかり忘れてしまっていた。






学校へと向かう。
昨日の夕食時とは様子が違うことに、お手伝いさん達は不思議がっていた。
そんなことはお構い無しに、私はナナミに早く会いたすぎて、いつもより少し早く家を出た。


(早すぎたかな…)

ナナミが来るまではもう少しある。
いつもはこの待ち合わせ場所に同じぐらいか、ナナミの方が早く着いている。
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