XYZ
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「ニカ先輩!オーディション受かったんです!」
「良かったねー!おめでとう」

お昼休みは自然と美咲ちゃんといることが多くなった。
だって、美咲ちゃんといる方が楽しいから。
流石に"にっちゃん先輩"は長すぎる、ということでいつの間にか"ニカ先輩"に呼び方が変わっていた。
体育祭の練習が日に日に増えていって、更に一緒にいる時間が多くなったからか、短期間で仲がとても深まった。


美咲ちゃんは、真新しい台本の『姫桃 美咲』と書かれたページを見せてくれた。
キャストが1人…?

「1人で朗読する公演なんです。全公演、同じ内容なんですけど演じる人は毎回変わるんです。」
「へぇー、1人でこの役全部やるんだ!」

書かれてある役の数と文字数の多さから、美咲ちゃんは本当に凄い子なんだと改めて実感する。


「よかったらニカ先輩もやってみませんか?」
「無理だよ。プロに申し訳ないよ」

美咲ちゃんは少し残念そうな顔をしていたけど、私には流石に出来なかった。
美咲ちゃんの夢に対する本気度を知っているからである。


「じゃあ、いつか私の舞台見に来てくださいね!」
「うん、行くね」


そんなキラキラした瞳をみていたら、ふいに私も何かを本気でやりたくなってしまった。
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