モラハラ夫との離婚計画 10年
「座れ」
十時過ぎに帰宅すると夫は一人、ダイニングテーブルで飲んでいた。棘のある声色に緊張が走る。まさかバレているなんて事はないだろうが。
「どうしたの?」
平静を装いながら向かいに座った。
「どうしてだ?」
「え?」
「なんでお前は子供が出来ないんだ?」
ああそっちか。ほっとする。
「どうしてかな……」
アフターピルを服用してるからだよ。死んでもお前との子供なんか産むか。
ドンッ! と拳でテーブルを叩かれると肩がビクッとした。
「おかしいだろうが! これだけ中出ししてるのによぉ!」
「そんな事、言われても……」
「テメーに原因があるんじゃねえのか?」
まあ、間違ってはいない。
「ごめん」
「お前、俺に原因があるって言いてえのか?」
面倒くせえな、思ってねえよ。
「思ってないよ」
「残念だったな、俺はむかし女をはらませてるんだよ、堕ろしたけどな」
最悪だこいつ。なんで自慢げなんだよ。
「つまり、妊娠しないのはテメーが原因だって事だ」
だから、分かってるよ。何が言いてえんだこいつは。
「だが、心配するな。そんな出来損ないのお前に朗報だ」
「え?」
夫はニヤリと笑い、焼酎を一口飲んだ。気味の悪い顔をしている。
「3Pだよ」
「は?」
そう言えば先日もそんなとち狂った事を言っていた。スッと冷めた視線を送る。
「興奮だよ、俺たちは良くも悪くもマンネリ化してきた。妊娠と興奮には大きな関係があるらしい」
「はぁ……」
「つまりは興奮するほどに妊娠する確率は上がるって訳だ」
「それがなんで3Pに?」
「ばっか、お前。興奮するだろーが3Pは」
それはお前の性癖だろーが。
「でも、それだと知らない人の子供を妊娠しちゃうかもよ」
「馬鹿だな、もう一人は挿入しねえよ。見られてるのが良いだろ? な」
な、じゃねーよ。頭痛くなってきた。
「ごめん、疲れてるから……」
軽くため息を吐いて椅子から立ち上がり風呂場に向かう、これ以上バカの話に付き合っていられない。
すると『バチチッー』という激しい効果音と共に背中に激痛が走った、背筋がピーンと伸びた後にその場に崩れ落ちる。
「まだ話の途中だろうが」
背中に手を当てながら振り返る、夫がスタンガン片手に仁王立ちしていた。
「ごめんなさい」
『バチチッ』『バチチチッ』と電源を入れたり切ったりする度に青い閃光が目の前で走る。
「スタンガンプレイでも良いんだぞ、テメーをビリビリさせながら挿入したら興奮するか? ああ?」
「すみません、それは許してください」
「じゃあ決定な」
「はい……」
殺そう一一。もう殺そう。この男は生きていたらダメだ。そんな気がする。ソファに座り楽しそうにテレビを見る夫を見て私は決意した。
十時過ぎに帰宅すると夫は一人、ダイニングテーブルで飲んでいた。棘のある声色に緊張が走る。まさかバレているなんて事はないだろうが。
「どうしたの?」
平静を装いながら向かいに座った。
「どうしてだ?」
「え?」
「なんでお前は子供が出来ないんだ?」
ああそっちか。ほっとする。
「どうしてかな……」
アフターピルを服用してるからだよ。死んでもお前との子供なんか産むか。
ドンッ! と拳でテーブルを叩かれると肩がビクッとした。
「おかしいだろうが! これだけ中出ししてるのによぉ!」
「そんな事、言われても……」
「テメーに原因があるんじゃねえのか?」
まあ、間違ってはいない。
「ごめん」
「お前、俺に原因があるって言いてえのか?」
面倒くせえな、思ってねえよ。
「思ってないよ」
「残念だったな、俺はむかし女をはらませてるんだよ、堕ろしたけどな」
最悪だこいつ。なんで自慢げなんだよ。
「つまり、妊娠しないのはテメーが原因だって事だ」
だから、分かってるよ。何が言いてえんだこいつは。
「だが、心配するな。そんな出来損ないのお前に朗報だ」
「え?」
夫はニヤリと笑い、焼酎を一口飲んだ。気味の悪い顔をしている。
「3Pだよ」
「は?」
そう言えば先日もそんなとち狂った事を言っていた。スッと冷めた視線を送る。
「興奮だよ、俺たちは良くも悪くもマンネリ化してきた。妊娠と興奮には大きな関係があるらしい」
「はぁ……」
「つまりは興奮するほどに妊娠する確率は上がるって訳だ」
「それがなんで3Pに?」
「ばっか、お前。興奮するだろーが3Pは」
それはお前の性癖だろーが。
「でも、それだと知らない人の子供を妊娠しちゃうかもよ」
「馬鹿だな、もう一人は挿入しねえよ。見られてるのが良いだろ? な」
な、じゃねーよ。頭痛くなってきた。
「ごめん、疲れてるから……」
軽くため息を吐いて椅子から立ち上がり風呂場に向かう、これ以上バカの話に付き合っていられない。
すると『バチチッー』という激しい効果音と共に背中に激痛が走った、背筋がピーンと伸びた後にその場に崩れ落ちる。
「まだ話の途中だろうが」
背中に手を当てながら振り返る、夫がスタンガン片手に仁王立ちしていた。
「ごめんなさい」
『バチチッ』『バチチチッ』と電源を入れたり切ったりする度に青い閃光が目の前で走る。
「スタンガンプレイでも良いんだぞ、テメーをビリビリさせながら挿入したら興奮するか? ああ?」
「すみません、それは許してください」
「じゃあ決定な」
「はい……」
殺そう一一。もう殺そう。この男は生きていたらダメだ。そんな気がする。ソファに座り楽しそうにテレビを見る夫を見て私は決意した。