卒業証書は渡せない
27.もしかして
ホテルの部屋は2人ではなかったけど、約束通り、琴未は私の話を聞いてくれた。何も言わないで、黙って聞いてくれた。
もし奈緒と同じ部屋だったら、どうしたかな。
幼馴染らしく、楽しく過ごせたかな。
それとも、弘樹の話をされて、辛かったかな。
それとも無理やり、他の話に変えたかな。
「おはよー。どうしたの弘樹、その顔」
翌朝、朝食会場に降りて行くと、ちょうど弘樹も到着したところだった。奈緒もクラスの子たちと話をしながら、私の後ろにいる。
「え? 顔?」
「うん。目の下、すごいクマだよ」
本当に、見ていたみんながびっくりするくらいクマができていて。
「同じ部屋の人に言われなかった?」
奈緒も隣で心配していた。
「昨日寝れなくてさー……今日もちょっと寝坊して、さっき起きたんだよ」
ブツブツと言い訳をしながら、弘樹はバイキングの列に混じりに行った。
それから朝ごはんは、私は琴未と食べた。奈緒や弘樹とも一緒にいたかったけど、やめた。
今日は一日中、2人と一緒に過ごすんだ。朝ごはんくらい別だって、何も問題ない。寝起きくらい、何も考えたくない。
部屋に戻って荷物を片づけて、クラス別にバスに乗ってUSJへ向かった。
そこはテーマパークではあるけど、一種の遊園地で。
遊園地と言えば、思い出してしまうわけで。
──でもアトラクションは違うから、大丈夫な気もして。
「弘樹ってさー、高所恐怖症だよね」
元気にそう言ってみると。
「……俺、そんなこと言った?」
「言ったよ。確か最初に遊園地行ったとき、観覧車乗るの怖がってたよ」
「ははは! そういえば言ってたね!」
「じゃ、決まりだね」
「なにがだよ?」
私と奈緒は一緒にパークガイドを見ながら、どのアトラクションに乗ろうか話をしていて。
弘樹が高所恐怖症だというのを思い出して、2人で顔を合わせて……考えてることは一緒だ。
「ジェットコースター系全部乗るよ!」
本当は、弘樹には辛い思いをさせたくない。せっかくの修学旅行で気分が悪くなるなんて、絶対にさせたくない。
でも、今の私がこんなに楽しくないのは……弘樹のせい。
──なんて言うのは本当は申し訳ないってわかってるけど、本当にそうなんだ。弘樹と出会わなかったら、こんなことにはなっていない。牧原君にも出会ってなかったかもしれないし、また今年も奈緒と同じクラスになれていたかもしれない。
奈緒は……悪くないんだ……弘樹が、奈緒を紹介してって、言って来たんだ……。
だけど、確かなのは、弘樹はなにも悪くないこと。
もしかして、私──奈緒をとった弘樹に妬いてる?
(そんな……そんなわけないよ……それに……最初は、幸せそうな2人を見てるのが、本当に嬉しかったんだ……)
「夕菜? どうしたの? 進まないと、後ろの人たち待ってるよ?」
「──あっ、ごめん」
アトラクションに並んでたんだった。
「ゆ、夕菜はさ、俺を気遣って戻ろうとしてくれたんだよな?」
そんな声が隣から聞こえたけれど。
「……まっさか! 弘樹には男らしく振舞ってもらいたいんだよー? ねー、奈緒?」
先に進む奈緒を追って、私は弘樹の腕を引っ張った。
奈緒は私と弘樹を振り返って、少し照れていた。
「ほらー行くよ! やっぱ一番前がいいな!」
「ええっ……う、後ろ希望……」
「奈緒を放っとけないのはどこの誰だっけ?」
嫌がる弘樹を引っ張って、無理やり奈緒の隣に行かせた。そして、奈緒を挟んで、3人並んだ。
私は──嫉妬なんかしていなかった。
ただ、どうしていいのか、わからなかった。
もし奈緒と同じ部屋だったら、どうしたかな。
幼馴染らしく、楽しく過ごせたかな。
それとも、弘樹の話をされて、辛かったかな。
それとも無理やり、他の話に変えたかな。
「おはよー。どうしたの弘樹、その顔」
翌朝、朝食会場に降りて行くと、ちょうど弘樹も到着したところだった。奈緒もクラスの子たちと話をしながら、私の後ろにいる。
「え? 顔?」
「うん。目の下、すごいクマだよ」
本当に、見ていたみんながびっくりするくらいクマができていて。
「同じ部屋の人に言われなかった?」
奈緒も隣で心配していた。
「昨日寝れなくてさー……今日もちょっと寝坊して、さっき起きたんだよ」
ブツブツと言い訳をしながら、弘樹はバイキングの列に混じりに行った。
それから朝ごはんは、私は琴未と食べた。奈緒や弘樹とも一緒にいたかったけど、やめた。
今日は一日中、2人と一緒に過ごすんだ。朝ごはんくらい別だって、何も問題ない。寝起きくらい、何も考えたくない。
部屋に戻って荷物を片づけて、クラス別にバスに乗ってUSJへ向かった。
そこはテーマパークではあるけど、一種の遊園地で。
遊園地と言えば、思い出してしまうわけで。
──でもアトラクションは違うから、大丈夫な気もして。
「弘樹ってさー、高所恐怖症だよね」
元気にそう言ってみると。
「……俺、そんなこと言った?」
「言ったよ。確か最初に遊園地行ったとき、観覧車乗るの怖がってたよ」
「ははは! そういえば言ってたね!」
「じゃ、決まりだね」
「なにがだよ?」
私と奈緒は一緒にパークガイドを見ながら、どのアトラクションに乗ろうか話をしていて。
弘樹が高所恐怖症だというのを思い出して、2人で顔を合わせて……考えてることは一緒だ。
「ジェットコースター系全部乗るよ!」
本当は、弘樹には辛い思いをさせたくない。せっかくの修学旅行で気分が悪くなるなんて、絶対にさせたくない。
でも、今の私がこんなに楽しくないのは……弘樹のせい。
──なんて言うのは本当は申し訳ないってわかってるけど、本当にそうなんだ。弘樹と出会わなかったら、こんなことにはなっていない。牧原君にも出会ってなかったかもしれないし、また今年も奈緒と同じクラスになれていたかもしれない。
奈緒は……悪くないんだ……弘樹が、奈緒を紹介してって、言って来たんだ……。
だけど、確かなのは、弘樹はなにも悪くないこと。
もしかして、私──奈緒をとった弘樹に妬いてる?
(そんな……そんなわけないよ……それに……最初は、幸せそうな2人を見てるのが、本当に嬉しかったんだ……)
「夕菜? どうしたの? 進まないと、後ろの人たち待ってるよ?」
「──あっ、ごめん」
アトラクションに並んでたんだった。
「ゆ、夕菜はさ、俺を気遣って戻ろうとしてくれたんだよな?」
そんな声が隣から聞こえたけれど。
「……まっさか! 弘樹には男らしく振舞ってもらいたいんだよー? ねー、奈緒?」
先に進む奈緒を追って、私は弘樹の腕を引っ張った。
奈緒は私と弘樹を振り返って、少し照れていた。
「ほらー行くよ! やっぱ一番前がいいな!」
「ええっ……う、後ろ希望……」
「奈緒を放っとけないのはどこの誰だっけ?」
嫌がる弘樹を引っ張って、無理やり奈緒の隣に行かせた。そして、奈緒を挟んで、3人並んだ。
私は──嫉妬なんかしていなかった。
ただ、どうしていいのか、わからなかった。