ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない

 「堂本とは友人として付き合っているんだろ?あれからふたりで会ったのか?」

 「……そうです。たまに……勉強に連れて行ってくれます」

 「は?勉強ってなんだ?」

 「……えっと。絵を見に行ったりして、同時代の作曲家の交流を考えたり、とか」

 驚いた。そんなことをしているのか。真面目に百合のためになることを考えているんだとびっくりした。

 「へえ。それはすごいね。堂本に誘われて、連れて行ってもらったのか?」

 「はい。とても博識なんです。色々教えてもらってます」

 目を輝かせて話し出す。あれも教えてくれた、これも教えてくれた、美味しい店も知っていたとか、色々と彼の話をし出した。どういうことだ?まさか、美術館だけじゃないのか?
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