ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない

 「あ、あの。意識とかしてません。ただのお友達です。心配ないですから……」

 早口でまくしたてる。言い訳する子供みたいだ。神楽は今しかないと決心した。

 「……百合。俺、お前のこと実は女として意識してる。今まで言わないできたが、少し考えてくれないか?」

 「え?」
 
 百合はびっくりした。思いもしない発言だった。

 「お前は音楽が一番大切だろ?今まで支えてきたが、男性関係は影が見当たらなかったから、音楽一筋だったんだろ?俺はお前の大事な音楽を近くで支えてやれるし、プライベートも管理してやれる。お前は俺のこと嫌いではなさそうだし。俺の思い上がりかな……素顔を見せるくらい心を許してくれていると思っているのは……」

 百合は彼をじっと見つめた。とても緊張しながら話している姿を初めて見た。下を向いて、返事を待っている。
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