ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない

 「神楽さん」

 「ああ」

 「私、ご想像通り男性経験はほぼないです。片思いもあまりしたことない。この歳なのに恥ずかしいです。それに、知識も偏っていて、自分に自信がないの。神楽さんは私にとってとても良いマネージャーです。ただ、お付き合いする関係には……今はなれそうもないです。ごめんなさい」

 「百合」

 「はい」

 「いいんだ。今すぐじゃなくても。お前は自分のペースがあるし、俺の気持ちを知っていて欲しい。そしていつかお前も俺に気持ちを預けたいと思ったら言って欲しい。別にすぐにお前と付き合えるとは思っていないよ。百合は俺のこと意識なんてしてないのわかってるからな」
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