ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない

 黙っている百合を心配して黎は話しかけた。

 「そうだ、あさってのコンサートを見に行く前、一緒に行きたいところがあるんだけど、時間あるかな?なければコンサート終わってからでもいいんだ」

 「何時頃になりますか?どこ行くの?」

 「……まだ内緒だ。どう?」

 「コンサートの後でもいいかしら?ちょっと、私も準備があるから」

 「うん。そこで一緒に食事も出来る。じゃあ、コンサートの後にしよう。じゃあ、あさってね。楽しみにしてる」

 黎との電話はそれで切れた。百合はじっと考えた。何かな?連れて行きたい所って。いつも、連れて行ってくれるレストランも素敵なところばかり。わくわくする自分に百合は気付いていない。
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