ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない

 神楽はため息をついた。
 知らぬ間に色々と堂本が彼女を囲い込んでいると知ったからだ。まさか、それ以上のことがあったとは想像もしていなかった。

 「そうか。わかった。そのうち、住所とかも教えて置いてくれ。あ、もちろん堂本の了承をもらってだがな」
 
 「はい、わかりました。聞いておきます」
 
 神楽は自分が直接黎に聞いた方がいいかもしれないと思った。どういう意図で彼女を囲い込んでいるのか問いただす時期に来たと思ったからだ。

 「進んでるか、練習は?」
 
 百合はにっこり笑顔で返した。

 「はい。おかげさまで予定通りです」
 
 「そうか。それは良かった。頑張って」
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