ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない
「はい」
ガッツポーズで帰って行く彼女を神楽は心配そうに見送った。
そう、夕方から夜にかけて最初は利用させてもらっていた。
防音設備があるからだ。
それが、この間も練習していたら家と同じようにピアノのうえで寝てしまった。
気付いたら、知らないベッドの上で寝ていた。彼はいなかった。だが、絶対ここへ寝かせたのは彼だろう。
もしかすると、お母様のベッドだったのかもしれない。部屋は女性好みのインテリアだったからだ。
翌日、また夜に行ったら、彼がいた。にっこり笑顔で迎えてくれた。
「昨日、君をベッドに移動したの俺だよ」