ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない
 
 「……やっぱり。驚いたわ。ベッドにひとりで寝ていたから。自分で歩いた記憶ないし」
 
 百合は苦笑いをした。

 「今日は寝るならちゃんとベッドで寝たほうがいい。それと、分かったと思うけどここは泊まることも出来るから、着替えを少し持ってきて置いて、お風呂を使ってもらっていいからね。定期的にハウスキーピングの人を入れているから、掃除は気にしなくていいから……」

 「……でも。無料でそんなに使わせてもらうの気が引けます」

 「君と俺はどういう関係だっけ?」

 「……こ、恋人……です」
 
 恥ずかしそうに、百合が答えた。
 黎が抱き寄せる。
< 146 / 327 >

この作品をシェア

pagetop