ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない
 
 百合はお金がないときに、あり合わせのもので料理を作っていたのでそれが癖になっていた。
 
 「それは、今度にしよう。君が買い物してきたらお金は俺が払う。今日はもう遅いし、何かデリバリーしよう。練習のために来たんだろ?」
 
 「おうどんくらいならできるわよ。少しこの間材料買ってきてあるから。今日はそれにしようと思ってたの」
 
 「そう。二人分出来るの?」
 
 「ええ。大丈夫。黎さんが足りない部分は何か頼んでちょうだい。私は食べ過ぎると眠くなって練習に差し障りが出るの。だからそれくらいが丁度いいの」
 
 「ああ、わかったよ」

 ふたりでうどんを食べながらたわいない話をして盛り上がる。
 音楽以外でも好きな映画など好みが似ているのだ。
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