ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない

 「百合。今日は練習したら泊まっていくつもり?」
 
 「……実は、昨日のベッド寝心地良くて。すごくスプリングがいいの。丁度明日は丸一日練習に使えるから泊まらせてもらってもいいかな?実は用意してきちゃった。パジャマとか……」
 
 そう言って、舌を出して笑っている。
 
 最近の百合はこういう素の部分を見せてくれるようになった。黎は嬉しくてしょうがない。
 
 「ああ。泊まっていけ。お風呂も使えよ」
 
 「ありがとう。綺麗に使うようにするから……」
 
 黎は笑い出した。
 
 「何言ってんだよ。百合は面白いな」
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