ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない
 
 「そんなことは、柿崎や使用人に任せたらいい。お前がわざわざ行かなくてもいいんだ」
 
 「分かってますよ。あそこへ行くと、母さんのことを思い出せるし、好きな音楽も大きな音で誰にも迷惑かけず聴くことができますので、そういうこともあって行ってるんです。ストレス発散法なんですよ」
 
 黎が珍しく笑顔で言う。
 
 「そうか。あまり遅くなって疲れが取れないようなら話にならんからな。ほどほどにしろよ」
 
 「はい。気をつけます」

 そうこうするうちにあっという間に百合のレコーディングの日になった。
 とても良く弾けたとメールが来ていたが、神楽に確認したら上出来だと喜んでいた。

 プロモーションなどはプロダクションである神楽の会社で計画中らしい。
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