ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない

 相変わらず美しいが、少し面痩せしている。忙しいと言っていたが本当だったようだ。

 彼女の名が売れて、会社では黎の手腕だと評価が上がった。
 百合のお陰で広告も多くなり、会社のほうへの利益もうなぎ登り。
 今後の活躍も期待されて、間違いなく契約は延長になるだろう。

 「……痩せたな。忙しかったんだろう。身体は大丈夫か?」
 
 百合は黎を見ながら、うなずいた。

 「ええ。身体は何とか大丈夫よ。ただ、ちょっと精神的にも疲れてしまって……今日はとても楽しみにしていたの!」
 
 嬉しそうに黎を見る彼女を抱き寄せた。

 「ああ。俺も楽しみだったよ。ずうっと会えなくて我慢していた。俺にご褒美をくれよ」
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