ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない
顔が曇った彼女に黎は何か余計なことを言ったかと反省した。
「……いえ、美味しそうね」
そう言って、とってつけたように笑顔を見せた彼女を抱き寄せた。
「百合。俺の前で気持ちを隠すな。嫌なことがあれば言ってくれ」
「ううん、何もない。さあ、温かいうちに頂きましょ」
そう言って、ふたりは美味しいそのイタリアンにお腹もいっぱいにするだけでなく、心を癒やされた。美味しい料理に気持ちも上がる。
黎は食事を終えると、ピアノを聴く?という彼女を自分の横に座らせて、両手で顔を自分の方へ向けた。