ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない
「……もう。ねえ、何時?私ったら寝過ごしちゃって」
黎は彼女に覆い被さると答えた。
「まだ九時だよ。ちょっとだけ仲良くしよう。そうしたらお風呂に入って食事したら出かける時間になるよ」
「ダメよ。私、身体に力が入らないの。黎さんのせいでしょ?もう、だめです。またにして、ね。お願い」
そう言って、彼の頬を綺麗な指で撫でる。
黎は横に倒れてしまった。そして、身体を起こして彼女を見た。
シーツを首の下まで引っ張っている。
「しょうがないな。出かけられなくなったらまずいから、今は我慢してやる。身体大丈夫?」
「だから、大丈夫じゃないの。シャワー借りたい」