ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない
「立てないんだろ。一緒に入ろう。今お湯を張ってくるから待ってろ」
そう言って、いなくなった。
結局嫌だといったのに、百合が入っているお風呂に黎も後から入ってきてしまった。お風呂で少し良くなったのに、身体を触る黎のせいで、のぼせてまただるくなった。
「黎さんがこんなに勝手だったとは知らなかったわ」
着替えてプリプリ怒っている百合を黎が後ろから抱きしめている。
「これからどんな百合も全部俺のものだ。その口をとがらせて文句を言う君も、昨日のように俺にすがりついて甘い言葉を言う君も、ピアノを弾く君もね」
百合は後ろを振り向いて、彼を見た。