ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない

 「百合。神楽のことは俺に任せろ。ほら、大学行くんだろ?食事して行かないと時間がないよ」

 そう言って、下から買ってきた軽食を机に並べてやる。百合が身支度し、化粧する間に買ってきたのだ。

 「ありがとう。何からなにまでごめんなさい」

 「いや。夕方からはもう一度俺だけの百合にするからな。恩返し期待してる」

 百合は赤くなって、下を向いた。頭の上にキスをひとつ落とし、食事しようと座らせた。

 彼女をタクシーに乗せて、マンションへ戻った。早速、神楽にメールをして一度会いたいと連絡する。

 実は百合のことだけではなく、仕事でも一度会わねばならなかった。ついでというには何だが、時間を取ってもらった方がいいだろうと思い、連絡したのだ。しばらくして返事が来た。
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