ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない
恐ろしい目をして、自分を睨む息子に驚いた。
「父さん。迷惑はかけませんよ。何かあれば自分ひとりで被りますから。会社を辞めさせられてもいいように、別会社を作らせて下さい。もちろん、何かあっても堂本コーポレーションには迷惑をかけないと書面にしてもいい」
黎の覚悟を聞いて、息子ながらあっぱれだと思う反面、ここまで強情だとは思わなかった。
その頃。
百合は神楽と一緒にとある地方公演の後、百合の父親と会っていた。
「実は、お前のことを嗅ぎ回っている情報屋がいて、こちらに圧力をかけてきた。百合、お前堂本コーポレーションの御曹司と付き合っているらしいな」
百合は真っ青になった。神楽はそんな彼女を見て、父親に言った。