ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない

 ぎゅっと抱き合ってそのまま黎が覆い被さった。
 
 「それなら、このままふたりでどこかに逃げるか?百合とふたりなら逃げてもいいぞ」
 
 百合の素肌を撫でながら、耳元で囁く。
 
 「そうね。あなたとならどこでも行けるわ。黎、大好きよ、愛してしまったの……ごめんなさい」
 
 黎は目をむいて百合をなじる。
 
 「何で謝っているんだ。俺を好きになったのは間違いか?」

 「そうね。わかっていたのに、愛してしまった。後戻り出来ないところまで……でも……」

 黎はキスをして口を塞いだ。
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