ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない
海外で神楽は事務所を通してそういった状況を連絡してもらい知っていた。
百合は神楽からその話を聞いて、メールや電話では何も心配ないと言い張る黎の話は自分を安心させるために彼が言っているのだとわかり悲しかった。
「神楽さん。私、堂本さんと別れます」
「百合……いいのか?」
「わかっていたこと。最初から、こうなるのはわかっていたのに……彼に別な結婚相手が現れて捨てられる前に、自分から別れたい」
百合の悲痛な顔を見て、神楽は悲しかった。だからこそ、反対したのに。
「百合。決めたなら何も言わない。俺はいつでもお前の側にいる。頼ってくれていいんだ。前も話してあるだろ?堂本とはだから反対していたんだよ。あいつもお前とは違った意味で普通の家ではないんだ。こうなることは遅かれ早かれ想像できた」