ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない
驚いた使用人が何事かとノックをする。黎は返事をしない。しかし、何かすごい物音がする。バン、ドカン、ガンッ!使用人は驚いて、柿崎を呼びにいった。
黎は手を握りしめ、顔を真っ赤にして震えていた。
「……ともだち、だと?ふざけるな!百合、逃げようとしても無駄だ。絶対に逃がさない」
トントン。
「黎様、どうしました?!」
「……柿崎か。入れ」
柿崎は部屋へ入って驚いた。机のうえの書類はバラバラと下に落ちている。ノートパソコンもひっくり返って落ちている。
椅子は蹴られたのか、ひっくり返っている。携帯電話が壁に当たって落ちている。画面が割れていた。それどころか、壁に穴が空いている。