ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない
また、ヒートアップしていく黎を肩を押さえてなだめる。
「落ち着いて下さい。わかりました。やりたいことはすぐにわかりました。いいんじゃないですか?それなら嫌とはいえませんよ。どんな契約にします?」
「うるさく言う奴らに俺が誰かわからせてやる。百合も俺と別れるなんてできるはずない。どうせ別れたらすぐにおかしくなるに決まっている。お互い様なんだよ」
ブツブツ言う黎をじっと見る。
柿崎はその話をしながら、黎は恐ろしいほど頭がいいと今更ながらに知るのである。
自分は味方で良かったと、そんなことを思いながら……。