ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない

 実は調べたら明後日のチケットが売り切れで取れなかった。どうやって彼女へ会ったらいいか頭を悩ませていたところへ救いの神が現れた。

 そんなことより、彼女にもう一度会える。そして彼女の演奏を聞くことができる。
 それだけで黎はわくわくドキドキしている自分にようやく気付いて、これからどうやって彼女と友人になろうかと作戦を練りはじめた。

 そう、友人。大好きな音楽の友人だ。神楽を通して紹介してもらうのがいいかもしれない。
 黎は非常にモテたが、自分から好きになる女性はなかなかいない。

 姉が二人いて、年が離れていたせいか、母親が三人いるような家だった。
 常に、見張られている感があり、女性に対して夢が持てなかったのもある。

 女性に甘えられると気持ちが悪かった。姉たちは父に甘えるときは何か裏があった。今の彼女の夫達にも同じことをしていた。それを見ていたからだと思う。
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