ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない

 それに、自分ではなく、御曹司としての自分を求められている気がして、嫌だった。
 
 御曹司の友達はそういう黎を女性を集めるために利用していたが、黎自身は女性を上手にはぐらかし、うまくさばいていた。

 女性の裏を感じることもできるし、どういう意図かも知っていたからだ。

 そんな黎が、はじめて自分から可愛いと思った女性。それがさっきの百合だった。

 だが、自分の生活や彼女の職業を考えると接点がほとんどない。

 でも、神楽を通して友人になればたまに会うことができるかもしれない。コンサートが待ち遠しかった。
 
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