ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない
「神楽さんなら、私以外のピアニストを担当しても成功するでしょう。私のことは忘れて下さい。あと、今来ているオファーについてはまとめて頂けますか?どうするかを黎と話し合います」
神楽は自分抜きで話をまとめようとしている百合を睨んだ。
「百合。俺抜きで話をまとめられるとでも?今まで俺の段取りしてきた成果がオファーだ。俺が間に入らなければ向こうは納得しないだろう」
「……わかりました。とりあえずまとめておいて頂けますか?いずれ、黎と一緒に相談させて下さい。場合によっては黎のお父様も入れてになるかもしれません」
「百合!やめろ、その話は考え直すんだ!」
百合は席を立って、会釈して出て行った。神楽はドアを凝視して、堂本に直接話すしかないと決心した。