ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない
夫婦として
黎と百合はその夜から一緒に堂本邸で暮らしはじめた。
婚姻届を出して、翌日には会社で結婚を表明した。大変な騒ぎになった。もちろん、噂になっていた彼女と結婚したのだから、それは想定内だったかも知れない。
ワイドショーなどでも取り上げられた。インタビューには応じないが、百合の父が嬉しそうにコメントしていたりした。
神楽は、黎と会って話し合った。もはや、聞く耳をもたない二人に、いずれ何らかの問題が起きるか、百合が我慢できなくなるかも知れないと引いてみていた。
黎は、今後の百合の活動をマネージングしていくのに神楽がいてくれたほうが百合にとってもいいだろうと思った。
「神楽。お前、独立する気があるのならこの機会にしてみたらどうだ?支援してもいい。その代わり、百合のマネージングを引き続き頼みたい。前の契約のときのように、会場の手配も頼みたいんだ」