ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない

 デッキから外へ出てみると、プールで泳ぐ百合の姿が見えてきた。

 黎はため息をついて、自分も水着に着替えるとバスタオルを持ってプールへ行った。

 百合は泳ぎがうまい。得意だと言っていたのは本当だったようだ。
 黎はプールへ入り、彼女を迎えるために立っていた。

 「あ、黎。もう、起きたの?」
 
 水から出た彼女は水滴がキラキラしてまぶしいほどだ。
 セクシーなビキニ姿にも煽られてしまう。

 抱き寄せて耳元で囁く。

 「ダメじゃないか。勝手に俺から離れたら……すぐ迷子になるくせに」
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