ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない

 「まあ、しょうがないだろうな。これだけ話題になるとな……許してやれよ。鼻高々だろ、堂本に収益も入るし、美人ピアニストの夫なんだから」

 百合は結婚して更に美しくなった。黎のせいだが、そのせいで愛妻は人気者になった。ピアノもうまい、美人、財界の御曹司と結婚したばかりと各界から引っ張りだこの状態だ。

 「最近はマンションへ帰っても練習していて、俺を放置してる。今に見てろ、ピアノのスケジュールを俺が管理してやる」

 「……おい、堂本。お前、ガキか?いい加減にしろよ」

 黎は神楽を睨み付けた。

 「神楽。お前こそ、誰のお陰で静香と付き合えるようになったと思ってるんだ。俺が色々セッティングしてやったからだぞ」

 神楽はびっくりしてビールを飲みながらむせてしまった。そう、実は静香と付き合いだしたのだ。最初は静香の片思いだったはずが、今や神楽の方が静香に夢中なのだ。
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