ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない

 「だから。妊娠二ヶ月だったの」

 「……」

 「黎?」

 「……」

 「黎、聞こえてる?ねえってば、黎?」

 「……妊娠って言ったのか?」

 「そうなの。どうしよう、黎。私お母さんになってしまう……」

 「なってしまうって、おい。百合、子供ができたのか?!え?」

 大声を出す黎に、後ろで聞いていた父と母、奈津は顔を見合わせて歓声を上げている。
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