ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない

 「黎?」

 「あ、いや。大丈夫か?気分はどうだ?」

 「大丈夫よ。黎?もしかして……」

 「何だ?」

 「子供、前は欲しいって言ってたでしょ?今は違ったの?」

 黎は百合に核心へ攻め込まれて、一瞬返事が遅れた。

 「いや。そんなわけないだろ。嬉しいよ。突然で驚いたけど……」

 「黎。嘘はやめてね。あんまり嬉しそうじゃないもの。私だって少しは黎のことわかるのよ」

 黎はびくりと動いた。そして、百合を抱きしめた。
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