ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない
「何言ってるんだ。俺の子を百合が妊娠したんだぞ。嬉しいに決まってる。ただ、心配なんだ……」
百合が胸を押して、黎の顔を見上げた。
「そうよね。私が頼りないから心配なんでしょ。私も自信ないもの。どうしよう、本当に。ちゃんとお母さんになれるのかな?」
黎は百合のおでこをデコピンした。
「痛いじゃないの、何するのよ!」
「百合はもしかして馬鹿なのか?女性は妊娠すると身体の変化と共に出産まで徐々に母親になっていくっていうだろ?百合も大丈夫だよ。考えすぎだ。それをいうなら、俺の方だろ」
「そうかな?黎はすぐにお父さんできそうよ」