ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない
「っ!何するんだよ……」
「もう。大きな子供みたいよ、黎、ごめんね。ひとつのことしか上手にできなくて……知ってるでしょ、私が不器用なの。ねえ、聞いて。私のリサイタルはあなたのためにやっているようなものよ。あなたの夢のため……堂本のコンサートホールを作るんでしょ?その土台になるものを私の力で作れたらって思ってリサイタルをしているのよ」
「……百合」
「でも、いいわ。しばらくはリサイタルもお休みだし、黎のご希望通りに朝から晩まであなたのことだけを考えてあげるわね。でも、私買い物とかひとりで出かけるとまた迷子になりそうだし。黎も付き合ってね。またデートしましょ。ふたりのうちにね」
百合の話を聞いていたら、黎は嬉しくてむずむずし出した。
「百合、抱くぞ。だめなのか?」