ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない

 「え?黎ったら……」

 「三日ぶりに帰ってくるから俺は待ってたんだぞ」

 「もう。子供なのか大人なのかわかんない。一体何なの、堂本黎さん……」

 「俺こそどうしたらいいかわからない。今すぐお前のこと食べてしまいたい」

 「ええ?もう、困った人ね。一緒に妊娠出産について勉強しましょ。心構えがお互い足りなさそうよ」

 百合の胸に頭を擦り付けてくる黎を百合はゆっくり撫でていた。

 「黎って甘えん坊だったのね。意地悪だったのは知ってたけど。新鮮だわ」

 黎は顔を上げて百合を睨んだ。
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