ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない

 ピアノを弾いていると動いているとよく言っていた。

 「足を動かしているのがこの間の検診でも見えた。男の子に違いない」

 「……また。どっちでもいいでしょ?」

 「ああ、どっちでもいいけど、男だったら一緒にサッカーしたいな」

 「……何それ?」

 「いいだろ。それも俺の夢なんだ」

 「夢がたくさんあって、大変ね。でも、男の子可愛いわね。奈津さんのお子さんも男の子じゃない、本当に可愛いの。私にこの間なんて抱きついてきてくれたのよ」

 「は?抱きついた?許さんぞ。そうだ、百合。男の子だったら堂本家は代々、名前は漢字一文字なんだ」
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