ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない
「あ、いいえ、とんでもない。ありがとうございます。嬉しいです。却って申し訳なかったです。でも大好きな色。使わせて頂きます」
彼女は立ち上がり、綺麗に頭を下げて礼をした。
「じゃあ、そのお礼をもらいたいんだけどいいかな。君の友人になりたいんだ。連絡先教えてもらえる?」
黎は、一番の目的を口にした。彼女の反応は悪くないから大丈夫だろうと……。
「友人ですか?でも、私なんて気が利かないし、音楽以外知らないから、堂本さんのお友達なんて出来ない……」
思いもかけぬ発言。黎は驚いた。今まで、友人なんて頼んでなってもらったこと一度もない。それなのに、この反応。
必死になった。
「友達は何かをしてもらうためになるものじゃないよ。もちろん、住む世界が違うけど、そういう違う所の視点を友達から得ることもできる。それに、君のマネージャーは俺の友人だ。それでもだめ?」