ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない
「よし。やってみてもいいだろう。まずはどういったことをそれでしたいのか、案をあげろ。それとその会社の、先ほど話した通り現在の経営状況をまとめたものを作ったら役員会でプレゼンさせてやる。それで通れば、出資金額を決めて、その範囲内で試しに二年くらい状況を見るというのでどうだ」
「もちろんそれで十分です。ありがとうございます。頑張ります」
黎は満面の笑顔で答えた。
黎の嬉しそうな顔を見て驚いた。何をそんなに喜んでいるのだろう?仕事のことなのに?もしや、音楽関係だからか……父は息子を複雑な思いで見ていた。
「黎。それで、見合いの件だが……」
黎は右手を挙げて、制した。
「父さん。そのことについては、遠慮します。もう少し待って下さい」